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5. ドメインネームの今日的意義 なぜ、ドメイン名が重要になってきたの? |
- 1.ドメインネームの不足
- ドメインネームは、3文字から63文字(日本語の場合 1文字から15文字)の間で、アルファベット及び数字等を自由に選定して並べることができる文字列であり、物理的には事実上無限に存在し得るといっても過言ではない。
しかしながら、実際にドメインネームを使用する民間企業・団体などは、ドメインネームに「わかりやすさ」「覚えやすさ」を求めるために、組織名や商品名・業種名などを含む、意味のある文字列を利用したドメインネームにたいするニーズが強くなる。
この結果、同一のドメインネームに複数の希望者が現れる場合があるが、同一のドメインネームは複数の者が使用できないという、ドメインネームが持つ自然的な制約から、ドメインネームがあたかも不足しているような状況が生じている。
当然、その希少価値から、ドメインネームの売買がおこる。
- 2.ドメインネームに対して期待される価値の多様化
- ドメインネームに対する需要の増大に伴いその不足が問題になる一方で、ドメインネームはその多様な利用形態のため、本来の「通信の相手方特定のための手段」としての価値を超えて多様な価値を実現し得る資源や資産として認識されるようになっている。(実際に企業等が、売買によりドメイン名を所有し営業に利用する場合、その価格は、無形固定資産の営業権として決算書上にも計上されている)
経済的価値・知的財産的価値をもつものとの認識のほか、組織アイデンティティ・組織イメージといった無形の価値や、提供するコンテントそのものを表現することで、情報へのアクセスビリティを向上させるものと捉えられるなど、ドメインネームは多様な価値を実現する可能性を持つ公共資源として認識されてきている。
- 3.価値の多様化による関係者間の利害対立
- ドメインネームが多様な価値を実現し得る資源や資産と認識されることにより、当然のことながら既存知的所有権や商号との対立が起こってくる。郵便の宛名等に使用される「住所」は、民法21条で規定されており、元来場所的に規定されているもので住所表記自身
での利害対立はほとんどおこらない。「住所」には、先願主義や単一性(世界にひとつ)がないからである。ところが、インターネットにおける「通信の相手方特定のための住所」であるドメインネームは、その多様な価値から、既に多くの法律問題が顕在化している。
既に国内でも裁判や世界知的所有権機関(WIPO・スイス)への訴えがおこっている。ドメインネームを所有していないこと及び訴訟を起こすこと自体が企業の信用やイメージを落とすことになる。
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